2023年12月22日、観光庁は2024年度(令和6年度)予算の決定概要を公開しました。
「国がどのようなことにお金を使おうとしているか」を知っておくことで、地域や事業体として今後の方向性を決める指針にもなります。図も交えてわかりやすく解説します。
なお、現在インバウンド対策に使える補助金は別記事:インバウンド対策・多言語化に使える補助金や助成金を一挙公開にまとめていますのでそちらをご参照ください。
- 1 2024年度(令和6年度)の観光庁決定概要
- 2 (1)持続可能な観光地域づくり
- 3 (2)地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取り組み
- 3.1 MICE誘致の促進(9億円)
- 3.2 円滑な出入国・通関等の環境整備(97億円)
- 3.3 空港におけるFAST TRAVELの推進(15.6億円)
- 3.4 地域一体となったインクルーシブツーリズム促進事業(0.8億円)
- 3.5 国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業(17.5億円)
- 3.6 ストーリーで繋ぐ地域のコンテンツの連携促進事業(2.5億円)
- 3.7 新たなインバウンド層の誘致のためのコンテンツ強化等(20億円)
- 3.8 地域観光資源の多言語解説整備支援事業(6億円)
- 3.9 地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業(2億円)
- 3.10 文化資源を活用したインバウンドのための環境整備(81億円)
- 3.11 国立公園のインバウンドに向けた環境整備(51億円)
- 3.12 公共交通利用環境の革新等(5億円)
- 4 補助金活用・訪日インバウンド集客のご相談を無料で承っています。
2024年度(令和6年度)の観光庁決定概要
24年度の観光庁の全体予算は前年度比1.64倍の約503億円。
これまで進めてきた政策を軸にしながら、「地方へのインバウンド誘客」に強く取り組むという政府の意向が反映された予算編成となりました。
この記事では、23年度予算から大幅に増額した予算の内訳について特に詳しく解説します。
(1)持続可能な観光地域づくり
従来からの軸であった「持続的な観光地域づくり」の各項目。全体としては23年度の47.8億円から51.6億円と微増の結果になりました。
地域における受入雇用整備促進と持続的な観光推進モデル事業の予算を減らし、ICT、DXといったデジタル領域に予算が当てられています。
ICT等を活用したインバウンド受入観光整備の高度化(9.9億円)
多言語化や無料公衆無線LANの整備など、基本的な受入環境を整備するための費用です。
前年度比6.6倍と、さらに力を入れていく意向が伺えます。
(ここから、各項目の説明においては観光庁公表のスライド画像を抜粋して掲載します。)
観光DXを通じた先進的な観光地創出のためのモデル事業(11.3億円)
デジタルを活用したマーケティング、データ研修などを含んだ費用です。前年度比1.26倍。
世界に誇る観光地を形成するためのDMO体制整備事業
データ活用や外国人目線を有する専門人材の活用に使われる費用。前年度5,000万円の予算が24年度では4億円と8倍になります。
(2)地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取り組み
「地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取り組み」予算は前年度の247億円から1.78倍の435億円に大幅増加しました。
2倍以上になった項目をそれぞれ見ていきましょう。
MICE誘致の促進(9億円)
企業等の会議(Meeting)、報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を取ったMICE。この誘致に前年度比4倍以上となる9億円が充てられます。
円滑な出入国・通関等の環境整備(97億円)
出入国時の混雑緩和のため、入管・税関手続きに必要な情報を同時に取得できる「共同キオスク」の導入費用を始めとして前年度比2.2倍の97億円が充てられます。
空港におけるFAST TRAVELの推進(15.6億円)
前の項目に続き、空港での体験を向上するための搭乗関連手続きの円滑化やビジネスジェットの受入整備などで新しく15.6億円の予算が割り当てられます。
地域一体となったインクルーシブツーリズム促進事業(0.8億円)
「ベジタリアン」「ヴィーガン」「ムスリム」といった多様な訪日外国人力者に快適に安心して訪日旅行を楽しんでもらえるような環境整備の予算として新たに8,000万円が充てられます。
国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業(17.5億円)
ニセコや白馬を代表として大きく盛り上がりを見せている日本のスノーリゾート。
国際競争力の高いスノーリゾート形成に向けて、23年度1.8億円の予算が24年度は17.5億と10倍近く増えることになります。
ストーリーで繋ぐ地域のコンテンツの連携促進事業(2.5億円)
日本に纏わる様々な「ストーリー」を題材としてそれを追体験するようなコンテンツの整備費用で、新しく2.5億円の予算が割り当てられます。
新たなインバウンド層の誘致のためのコンテンツ強化等(20億円)
「サステナブルな観光」「古民家活用」といった新たな体験型観光コンテンツの造成を支援する予算として約20億円を予算化。23年度の1.7億円から10倍以上の予算となります。
地域観光資源の多言語解説整備支援事業(6億円)
世界遺産や国立公園といった観光資源を中心に英語・中国語・韓国語の解説文を整備する費用。23年度1.2億円から24年度は6億円とこちらも大幅増加となります。
地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業(2億円)
食をテーマとした旅行形態である「ガストロノミーツーリズム」。特に欧米の富裕層を中心にニーズの高い分野です。新たに2億円が予算化されました。
文化資源を活用したインバウンドのための環境整備(81億円)
日本文化の体験プログラム造成やプロモーション、多言語化に利用される費用。2025年の大阪・関西万博に向けて前年度費2倍の80億円が予算化されました。
国立公園のインバウンドに向けた環境整備(51億円)
日本の国立公園は世界的に見てもポテンシャルが高いと言われていますが、観光地としての整備はほとんどされていませんでした。これらに手を付ける予算で、前年度比2倍の51億円が充てられました。
公共交通利用環境の革新等(5億円)
長く課題と言われながらまだほとんど解決できていない公共交通機関の整備。新たに項目化され5億円が充てられました。
以上、外国人観光客の誘客に向けた必要な整備項目には漏れなく予算の枠が当てられている印象であり、インバウンド観光の発展に注力をする政府の意志が見て取れます。
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