アフターコロナの訪日インバウンド状況をわかりやすく解説

長らく続いたコロナ禍も明け、2023年は訪日客数が大幅に回復しています。

このチャンスをモノにしようと、外国人観光客向けの集客施策をはじめようとしている国内の事業者も増えています。

そこで今回は、アフターコロナの訪日客がビフォーコロナとどう違うのか、図も交えながら解説します。

※なお、本記事のデータは観光庁の「訪日外国人消費動向調査」およびJNTOの「訪日外客統計」を参照しています。

2023年の訪日客数の状況

まずは訪日者数の概況から。

中国の渡航制限が続いていることから総数としては2019年の6割程度の水準ですが、米国やドイツ、シンガポールなどではすでに2019年の水準を超えており大幅に回復していると言えます。

1人あたりの消費単価が大幅に増加

前述の通り訪日者の数としてはまだ2019年の6割程度ですが、注目すべきは1人あたりの消費単価。

訪日者が日本で消費する額はコロナ前よりも大幅に増加しています。

コロナ前は15.9万円だったのに対し、2023年の1-3月の推計値ではなんと21.1万円と30%以上も増加しています。

円安が進んだことが一つの背景

消費単価がコロナ前よりも大幅に増額したことの背景に、円安が進行したことにあります。

2019年の平均ドル円相場は1ドル109円だったのに対し、2023年6月は1ドル133円。20%ほど円安となったことで外国人観光客が日本でお金をより使うようになったと言えます。

ただし理由はそれだけではありません。コロナ禍で旅行に行きたくても行けなかった層がようやく行けるようになり奮発しているという仮説も立てられます。

政府目標の消費単価は「20万円」

2023年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」では、訪日外国人の1人あたりの商品単価の目標を「2025年までに20万円にする」と定められています。

2023年1-3月のデータではこの目標をすでに達成していることになりますが、中長期的にこの水準の消費単価が維持できるのか、あるいはさらに上げられるのかは動向を注視する必要がありそうです。

日本への来訪「リピーター」の割合が増加

別の指標も見ていきましょう。

日本への来訪回数については、ビフォーコロナの2019年に「初めて日本に来る」人の割合が40%だったのに対し、アフターコロナの2023年1-3月は35%まで減少しています。

つまり、アフターコロナでは日本旅行のリピーターの割合が増加している傾向にあると言えます。

訪日観光客の情報源と役に立った情報

日本政府観光局HPやSNS、動画サイトの重要性が高まる

「出発前に役に立った情報」では、「日本政府観光局ホームページ」という回答の割合がビフォーコロナに比べて大幅に向上しています。

コロナ禍において日本政府観光局(JNTO)が力を入れてコンテンツを充実させたりマーケティングをした成果と言えるでしょう。

また、SNSや動画サイトの割合も大きく伸びており、これは本記事読者の皆さまの感覚とも一致するでしょう。

「個人のブログ」がビフォーコロナでもアフターコロナでも依然高い割合なのは注目です。

日本滞在中に役立った情報は「交通手段」と「飲食店」

「日本滞在中に役立った情報」では交通手段と飲食店の割合が高まっています。

訪日観光客がよりアクティブに動くようになったことの証左でしょうか。このあたりはもう少し中長期的に情報を見る必要がありそうです。

「日本食」と「酒」の期待値が大幅に向上

「訪日前に期待していたこと」という質問に対しては、「日本食を食べること」と「日本の酒を飲むこと」の割合がどちらもビフォーコロナに比べて大幅に向上しています。

一方、「繁華街の街歩き」や「ショッピング」は多少ですが減少しており、訪日観光客の嗜好の変化が読み取れます。

今後のインバウンド動向にも要注目

以上、アフターコロナで回復してきた訪日観光客のデータから特質すべき事象を中心にお伝えしました。

中国の渡航制限が続いていることからまだ2019年水準には遠いですが、今後その規模は急速に回復していき2019年水準を超えた大きな成長をすることも見込まれています。

(参考:訪日観光客の推移と政府目標)

訪日観光客の需要を取り込むためにはその動向を把握して「どの国・地域の人たちに」「どうやってアピールしていくのか」戦略を立てて実行することが肝要です。

インバウンド対策に使える補助金も紹介しているので、是非参考にしてみてください。

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