外国人観光客の地方分散は道半ば。2024年6月都道府県別の訪日インバウンド外国人宿泊者数を解説

ますます盛り上がりを見せる訪日インバウンド市場。

しかしながら、その恩恵を受けているのはまだほんの一部の自治体や事業者だけかもしれません。

2024年8月末に公開された観光庁の宿泊者統計(第2次速報値)を基に、2024年6月の都道府県別の外国人延べ宿泊者数を図解でお伝えします。

外国人の宿泊者数は都市部に集中

2024年6月の外国人延べ宿泊者数は、全国で1347万人泊。コロナ前の2019年同月と比べて約40%も増加しています

一方、三大都市圏(※)と地方部での宿泊者数を見ると、三大都市圏の宿泊者数がコロナ前の60%増に対して地方部の宿泊者数が6%増と大きな開きがあることがわかります。

※三大都市圏:東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・京都・大阪・兵庫(観光庁定義)

 

日本政府観光客(JNTO)が公表している同じ月の訪日客数は推計で313.5万人のため、単純計算で一人当たり宿泊数は三大都市圏で3.14泊、地方部で1.16泊となります。

政府は令和5年3月に定めた観光立国推進基本計画の中で令和7年までに地方部で2泊の目標を掲げていますが、目標達成にはさらに地方へ周遊を促進する施策の実行が必要なようです。

各都道府県ごとの外国人延べ宿泊者数を解説

ここからは、各都道府県ごとの外国人延べ宿泊者数をコロナ前の2019年同月との比較も併せて解説します。

引き続き差が明確な三大都市圏の外国人延べ宿泊者数

まずは観光庁の定義による三大都市圏(東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・京都・大阪・兵庫)の宿泊者数を見ていきます。

コロナ禍を経て、東京・大阪・京都への集中が続いています。

三大都市圏のそのほかの地域は、神奈川が元気な一方で千葉や愛知、兵庫はコロナ前を下回る水準。

三大都市圏の中でも地域によって明暗が分かれています。

東北は全体的にコロナ前を上回る。2ヶ月連続福島で大きな伸び。

北海道の宿泊者数は5月までコロナ前を下回る水準で推移していましたが、6月はコロナ前を超えてきました。

東北地方は全体的にコロナ前よりも多くの宿泊者数を記録しており、特に福島県は2ヶ月連続で大きな成長を見せています。

成長率は高いですが母数としては他の地域に比べてまだまだ少なく、今後その魅力をさらにアピールしていく必要がありそうです。

石川は連続してコロナ前2倍の水準。北関東・北陸・甲信地方の外国人延べ宿泊者数

石川県はコロナ前の2倍以上の外国人宿泊者数を記録しています。この傾向は年初から続いており、特に欧米系の観光客が多いことが特徴。

東京から石川を経由して京都大阪を巡るコースは、今後ゴールデンルートと併存してインバウンド観光客の定番ルートになりそうです。

全体的に元気がない東海と関西エリアの外国人延べ宿泊者数

飛騨高山や白川郷を擁する岐阜は先月までコロナ前を上回る宿泊者数を記録していましたが、6月はコロナ前に届いていません。

都市部を除く東海エリアと関西エリアは全体的にコロナ前を下回って元気がありません。唯一、高野山擁するの和歌山が好調に推移しています。

四国は好調継続。広島も大きく増加:中国四国エリアの外国人延べ宿泊者数

四国地方は好調をキープしています。なかでも、愛媛県は3ヶ月連続でコロナ前の2倍のインバウンド宿泊者数。全国でも1位の成長率を見せています。

広島も大きく伸び得ていますが、岡山と山陰地方は伸び悩んでいます。

福岡・熊本・大分が大幅な成長:九州沖縄地方の外国人延べ宿泊者数

5月までの傾向と同じく、九州・沖縄地方では福岡と熊本が宿泊者数を大きく伸ばしています。また、大分もコロナ前の宿泊者数を超えてきました。

一方、その他の県は沖縄含めてコロナ前よりも大きく数を減らしています。

都道府県別:コロナ前からのインバウンド宿泊者数伸び率ランキング

最後に、コロナ前からの伸び率ランキング10位を発表します。

自治体や事業者の取り組みがインバウンド観光客の集客にダイレクトに影響します。ターゲットを定めて効果的なプロモーション・販路開拓をすることで、今後どの地域でも飛躍的にインバウンド客を増加させられる可能性があります。

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