【2026年最新版】インバウンド販路開拓・プロモーション完全ガイド|ターゲット別・フェーズ別の最適戦略

2025年の訪日外国人旅行者数は約4,268万人と初めて4,000万人を突破し、旅行消費額も約9.5兆円と過去最高を更新しました(出典:JNTO「訪日外客数 2025年12月推計値」/観光庁「インバウンド消費動向調査」)。政府が掲げる2030年の目標「訪日者6,000万人・消費額15兆円」も現実味を帯びてきています。

こうした追い風の中、多くの自治体や事業者が訪日外国人向けの体験コンテンツやサービスを造成しています。しかし、「コンテンツを作ったのに外国人が来ない」「多言語サイトを作ったがアクセスがない」「SNSを頑張っているが反応がない」。こうした悩みを抱える方は少なくありません。

その原因の多くは、販路開拓とプロモーション戦略の欠如にあります。

本記事では、インバウンドの販路をどう分類し、誰にどうアプローチすべきかを体系的に整理します。これからインバウンド誘客を本格化させたい自治体・DMO・事業者の方にとって、実践的な指針になるはずです。


そもそもインバウンド誘客の「販路」とは何か

まず前提を整理しましょう。インバウンドにおける「販路」とは、訪日外国人旅行者に対して自地域・自社のコンテンツやサービスを届けるための**チャネル(経路)**のことです。

この販路は、大きくデジタルリアルの2つに分類できます。

デジタル販路

デジタルの販路とは、オンラインを通じて訪日旅行者にリーチする手段です。代表的なものに以下があります。

OTA(オンライン旅行代理店) ― Viator、GetYourGuide、Klook、booking.comなど、世界中の旅行者が利用するオンラインプラットフォームです。体験コンテンツや宿泊施設を掲載し、直接予約を受け付けることができます。

SNS ― Instagram、YouTube、TikTok、Facebook、小紅書(RED)など。視覚的な情報発信に強く、特に旅行先の「認知」段階で大きな影響力を持ちます。やまとごころが2023年に実施した訪日旅行者調査では、情報収集で最も参考にしたものとしてSNSが1位に挙げられています(出典:やまとごころ「外国人旅行者のインバウンド動向調査」2023年)。

WEBサイト ― 自社・自治体の多言語サイト。SNSやOTAで認知を得た旅行者が詳細情報を確認し、予約や問い合わせを行う「受け皿」としての役割が重要です。

リアル販路

リアルの販路とは、人を介した対面・商談ベースのチャネルです。

海外旅行エージェント(海外AGT) ― 現地の旅行会社を通じてツアーに組み込んでもらう方法です。エージェントごとに得意な顧客層が異なるため、複数の会社と関係を築くことが理想です。

国内DMC(Destination Management Company) ― 海外エージェントと日本国内の体験・サービスを橋渡しする役割を担います。地域の魅力を熟知し、旅行商品の造成から手配までをワンストップで行う専門事業者です。特に高付加価値旅行の分野では、DMCの存在が欠かせません。

旅行博覧会・商談会 ― ILTM(International Luxury Travel Market)やITBなどの国際商談会に出展し、海外エージェントと直接関係を構築する場です。

インバウンドの販路開拓とプロモーション


「顧客フェーズ」で考える販路の使い分け

販路を選ぶ際に重要なのが、顧客がどのフェーズにいるかという視点です。訪日旅行者の意思決定プロセスは、大きく3つのフェーズに分けられます。

フェーズ1:認知拡大(知ってもらう)

まだ自地域・自社のことを知らない旅行者に対して、存在を知ってもらう段階です。

このフェーズで有効なのは、SNSOTAです。SNSはInstagramやTikTokの短尺動画を通じて、旅行者の目に留まるビジュアルコンテンツを届けるのに適しています。OTAも、プラットフォーム内の検索を通じて新たな旅行者と出会う機会を生み出します。

また、インフルエンサーマーケティングも認知拡大に有効な選択肢です。ただし、インフルエンサーの質や影響力には大きな幅があります。フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率やフォロワーの属性(ターゲット国・旅行関心層であるか等)を確認した上で、自地域の世界観やブランドに合った人物を選定することが成果の鍵を握ります。

フェーズ2:関心度向上(興味を深めてもらう)

認知した後、より詳しく調べている段階です。

このフェーズでは、WEBサイトYouTubeが重要な役割を果たします。WEBサイトでは、コンテンツの詳細情報やアクセス方法、料金体系などを分かりやすく伝えます。YouTubeでは、実際の体験の様子を映像で見せることで、旅行者の「行ってみたい」という気持ちを高めることができます。

フェーズ3:予約(申し込んでもらう)

実際に旅行を決め、予約・手配をする段階です。

このフェーズでは、WEBサイト上の予約導線OTAでの掲載が直接的なコンバージョン(予約獲得)に繋がります。リアル販路においては、海外エージェントやDMCを通じたツアーへの組み込みが予約の主要経路になります。

顧客フェーズ 目的 有効な販路
認知拡大 存在を知ってもらう SNS、OTA、インフルエンサー
関心度向上 興味を深めてもらう WEBサイト、YouTube
予約 申し込んでもらう WEBサイト(予約導線)、OTA、海外AGT/DMC

インバウンドの販路開拓とプロモーション2


「顧客属性」で考える販路の使い分け

もう一つの重要な軸が、ターゲットとする顧客の属性です。特に消費単価や旅行スタイルに着目すると、販路戦略は大きく変わります。

マス層へのアプローチ

一般的な個人旅行者(FIT)やコストパフォーマンスを重視する層に対しては、OTASNSが有効です。彼らは自分で情報を検索し、比較し、オンライン上で予約を完結させる傾向が強いためです。

ハイエンド層(高付加価値旅行者)へのアプローチ

1人あたりの消費単価が高く、パーソナライズされた旅行体験を求める富裕層・高付加価値旅行者に対しては、国内DMC海外の高級旅行専門エージェントを通じたアプローチが不可欠です。

この層の旅行者は、OTAで自ら予約するよりも、信頼するトラベルアドバイザーやエージェントに相談して旅程を組むケースが多く、直接的なオンラインアプローチだけでは十分にリーチできません。

アッパーミドル層・ミドル層はどうするか

注意が必要なのは、超ハイエンドの富裕層を除けば、アッパーミドルやミドル層にはデジタルを活用したアプローチも十分に有効だという点です。

2024年の訪日外国人1人あたり旅行支出は約22.7万円であり(出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年速報」)、特に欧米豪からの旅行者は消費単価が高い傾向にあります。この層の多くはSNSやWEBメディアを積極的に活用して旅行先を決定しています。

したがって、アッパーミドル層をターゲットにする場合は、デジタル(SNS・WEBサイト)とリアル(DMC・海外AGT)のハイブリッド戦略が最も効果的です。

顧客属性 主な販路 補足
マス層 OTA、SNS オンライン完結型が中心
ミドル~アッパーミドル SNS + WEBサイト + DMC デジタルとリアルのハイブリッド
ハイエンド(超富裕層) DMC、海外高級AGT 人を介したアプローチが主軸

インバウンドの販路開拓とプロモーション3


「提供商品」で考える販路の使い分け

販路は、売りたい商品の種類によっても変わります。

体験コンテンツ単体の場合

茶道体験、着物レンタル、アウトドアアクティビティなど、単体の体験コンテンツを販売する場合は、SNSでの認知拡大とOTA(Viator、GetYourGuide、Klookなど)での販売が基本です。旅行者が旅ナカで「何かやりたい」と検索した際にヒットする状態を作ることが重要です。

ツアー(複数日程の旅行商品)の場合

複数の体験や宿泊を組み合わせたツアー商品の場合は、SNSでの発信に加え、DMCを通じた商品造成・販売が効果的です。ツアーは単体の体験と比べて商品設計が複雑であり、ターゲットとなる旅行者の嗜好に合わせた細やかなカスタマイズが求められるため、地域を熟知したDMCとの連携が強みになります。

商品タイプ 認知・集客 販売・予約
体験コンテンツ単体 SNS OTA
ツアー(複数日程) SNS DMC、海外AGT

最も重要な考え方:「販路とターゲットを先に決めてからコンテンツを造成する」

ここまで販路の分類を整理してきましたが、実はこの記事で最もお伝えしたいことがあります。

それは、「コンテンツを造成してから販路を考える」のは順序が逆だということです。

多くの自治体や事業者が陥りがちな失敗パターンは、次のような流れです。

  1. まず体験コンテンツや旅行商品を造成する
  2. 完成してから「さて、どうやって売ろうか」と販路を考え始める
  3. 結果として、ターゲットとチャネルにミスマッチが生じ、集客できない

理想的な順序は、以下の通りです。

  1. ターゲット(WHO)を決める ― 誰に来てもらいたいのか
  2. 販路・プロモーション方法(WHERE / HOW)を決める ― そのターゲットにどうリーチするのか
  3. コンテンツを造成する(WHAT) ― ターゲットと販路に合った商品を作る

この順序で進めることで、「造成したけれど売れない」という事態を回避できます。ターゲットのニーズと販路の特性を理解した上でコンテンツを設計すれば、販路との整合性が最初から取れた状態でスタートできるのです。

インバウンドの造成の正しい方法


高付加価値旅行者を狙うならDMCとの協同造成を

特に、ミドル層以上の高付加価値旅行者をターゲットにする場合は、DMCとの協同でのコンテンツ造成が望ましいと言えます。

その理由は3つあります。

1. 海外エージェントが求める品質基準を満たせる 高付加価値旅行者にサービスを提供する海外エージェントは、ホスピタリティや安全管理、言語対応などに高い基準を求めます。DMCはこうした基準を理解し、それに合致したコンテンツを設計するノウハウを持っています。

2. 販路と直結したコンテンツ設計ができる DMCは海外エージェントとの直接的な取引関係を持っています。そのため、造成段階から「どのエージェントのどの客層向けか」を念頭に置いた商品設計が可能です。

3. 地域の本物の価値を引き出せる 優れたDMCは、地域の文化・歴史・自然・人の魅力を深く理解し、旅行者にとって意味のある体験へと変換する力を持っています。表面的な観光ではなく、その地域でしかできない「本物の体験」を設計することが、高付加価値旅行の核心です。


まとめ:インバウンド販路開拓・プロモーションの全体像

最後に、本記事で解説したインバウンド販路開拓とプロモーションの考え方を整理します。

販路の分類軸は4つ:

  1. デジタル vs リアル ― オンライン(OTA・SNS・WEB)とオフライン(DMC・海外AGT・商談会)
  2. 顧客フェーズ ― 認知→関心→予約の各段階で最適なチャネルは異なる
  3. 顧客属性 ― マス層はデジタル中心、ハイエンドはリアル中心、ミドル〜アッパーミドルはハイブリッド
  4. 提供商品 ― 体験単体はOTA、ツアーはDMCとの連携が効果的

そして最も大切なのは、順序を間違えないこと:

「コンテンツ造成 → 販路探し」ではなく、「ターゲットと販路を決める → コンテンツ造成」。この逆転の発想が、成果を出すインバウンドプロモーションの出発点です。


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