訪日インバウンド需要に対応する「多言語対応」の完全マニュアルを公開

アフターコロナのインバウンド需要の回復や今後の海外販路展開を見据えて自社サービスや商品の「多言語対応」について考えている経営者・担当者の方も多いのではないでしょうか。

しかし、「多言語対応」といってもただ単に日本語の内容を「翻訳」すればいいというわけではありません。

この記事では、多言語対応の基礎知識から多言語対応によってサービスや商品の「魅力を伝えきる」「他と差別化する」ための方法について解説します。

多言語対応の必要性と重要性

この記事をご覧の皆さまには釈迦に説法かもしれませんが、この10年で訪日インバウンド客の数は大きく伸びています。新型コロナウイルスの蔓延によって3年ほど下火になりましたが、2023年からいよいよ回復の兆しが見えています。

そして今後、訪日観光客の数はますます増えていくことが予想されます。また、世界的な日本の伝統産業やマンガ・アニメといった注目の高まりとともに商品の海外展開を考えている事業者も多いでしょう。

government target

そんな状況の中で、自社の商品やサービスについて外国人にも利用してもらいたいと考え多言語対応を検討している事業者も増えています。

しかし、そのやり方が分からない事業者の方、あるいは誤った方法で逆効果になってしまっている事業者が多いのも事実。

この記事では多言語対応の完全マニュアルと称して、そのやり方について徹底解説します。

多言語対応の完全マニュアル

multiple map

どの言語に対応すべきか?

まず考えるべきは、「どの言語に対応すべきか?」という点。

真っ先に思い浮かぶのは英語だと思いますが、果たしてそれだけでよいのかしっかりと考える必要がありそうです。

たとえば2019年に日本を訪れた外国人観光客の内、中国語話者はなんと全体の約55%。

2019inbound

中国人話者は英語が苦手という方も多くいるので、英語だけでなく中国語対応も必須だということがわかるでしょう。

そこでまた考えるべきは、「中国語」という言語のこと。同じ中国語でも、その文字には大きく「繁体字」と「簡体字」があり、その表記は全く違うものです。

大まかに言うと、中国本土やシンガポール、マレーシアの方が使うのが「簡体字」、台湾や香港の方が使うのが「繁体字」です。

訪日観光客の割合を見ると台湾や香港からの旅行者も多いので、中国語表記をするのであれば「簡体字」と「繁体字」どちらの対応も必要でしょう。

また、対象とするサービスや商品といった事業が「どの国の人を主なターゲットにするか」によっても対応は異なります。

昨今ではタイやインドネシアといった東南アジアからの訪日者も増えているので、そうした国の言語への対応も検討が必要となります。

どうやって多言語対応をするべきか?

how to conduct multiple languages

ここからは実際にどうやって多言語対応をしていくのかを見ていきましょう。

多言語対応の方法は、主に次の4つが挙げられます。機械翻訳、日本人による翻訳、ネイティブによる翻訳、真の多言語対応です。一つずつ解説します。

【方法1】 機械翻訳

テクノロジーの発展した現代では、機械翻訳を用いることでそれなりの精度で翻訳することが可能です。代表的なものに「Google翻訳」や「DeepL」があります。Google翻訳は完全無料で使えます。DeepLは本格的に使おうとすると費用がかかりますが、機械翻訳の中では精度が高いことで有名です。最近では「ChatGPT」も翻訳に使えるでしょう。

ただしいくら精度が上がってきたとはいえ、まだ意味不明な翻訳になってしまうことも多くあります。事業として展開しているサービスや商品の多言語化を機械翻訳だけに頼るのは危険と言えます。

機械翻訳のメリット:無料、もしくは費用がそこまでかからない。時間もかからない。

機械翻訳のデメリット:意味不明な文章や違和感のある文章になることがある。受け手が「機械翻訳」だとわかってしまう

【方法2】日本人による翻訳

次に、日本人による翻訳対応が挙げられます。翻訳家と言われる方々に任せておけば安心だと考える方も多いでしょう。適任者を探しやすく、コミュニケーションが取りやすいといったメリットもあります。

一方、その母国語を話すネイティブから見たら違和感のある翻訳になっているケースもしばしば見受けられます。

どんなに経験が長くても、やはりネイティブの使う表現や言い回しには敵いません。

日本人による翻訳のメリット:適任者が見つけやすい、コミュニケーションが取りやすい

日本人による翻訳のデメリット:ネイティブにとっては違和感のある文章になることもある

【方法3】ネイティブによる翻訳

次に、ネイティブによる翻訳が挙げられます。当然、受け手にとっては自然な文章での翻訳が可能です。このクオリティであれば受け手も「歓迎されている」と思えるでしょう。

ただし、適任者を探すのが難しかったり依頼者のスキルによってコミュニケーションが難しいなどのデメリットがあります。

ネイティブによる翻訳のメリット:受け手にとって自然に通じる表現を用いることができる

ネイティブによる翻訳のデメリット:適任者を見つけるのが難しい。コミュニケーションを取るのが難しい場合がある

【方法4】「真の多言語対応」

最後に、「真の多言語対応」について。どういうことでしょうか?

これは単に「日本語を翻訳する」というだけではなく、表現やデザインも含めてネイティブ向けに別のモノを作るという意味です。

例えば、以下の星野リゾートの公式WEBサイトが参考になります。

英語版のWEBサイトは、単に日本語を翻訳するのではなく全く別のデザインのサイト構成になっています。

日本人と他の国の人の感覚は全く違うので、「どういった見せ方をすれば一番響くのか」を徹底的に考えて作られています。

これこそ「真の多言語対応」と言えます。

ここまで述べたそれぞれの方法のメリットやデメリットを振り返ってみましょう。

多言語対応を行なう対象物ごとの留意点

ここからは、何を多言語化対応するのか?によって異なる留意点をお伝えします。

WEBサイト

WEBサイトの多言語対応をする場合、次のようなことに留意する必要があります。

  • サイトのドメイン

  • デザイン(言語表記によるデザインのズレ)

  • SEO対策

SNS投稿

インスタグラムやTikTok, facebookなどでのインバウンド集客を考えている事業者も増えています。

SNSは気軽に発信できる分、「日本語を翻訳しただけの投稿」は驚くぐらい海外ネイティブには拡散されません。

SNSを訪日観光客向けに運用するのであれば、日本語を翻訳するのではなく始めから国のターゲットをある程度絞って発信する必要があります。

印刷物

WEBサイトやSNSといったオンライン上のものであれば間違いが発覚したときに修正するのは比較的簡単ですが、印刷物などではそうはいきません。校正をより慎重に行なう必要があるでしょう。

案内表示

案内表示を多言語対応する場合、他の言語との「併記」になることが一般的です。

よって、「表現を簡潔に。長くしすぎない」といった配慮が必要です。

訪日インバウンドナビでは多言語対応に使える補助金も紹介しているので、是非参考にしてみてください。

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