2023年は観光立国に向け再始動した年として、インバウンド消費額は過去最高となる5兆円を超えました。
日本ブランドの世界的な再評価や円安の影響もあり、今後益々成長することが見込まれるインバウンド市場。政府も、2030年にインバウンド消費額15兆円という目標を掲げています。
そんな成長市場で重要になってくるのがインバウンド観光客の「体験設計」。今回は、2024年5月16日に開催された「インバウンド最前線 2030年15兆円市場へ〜訪日インフラに求められる多言語対応とは〜」セミナーの内容から、訪日インバウンド事業に取り組む皆さまが特に参考にできそうな3つの講演内容をレポートします。
【インバウンド最前線 2030年15兆円市場へ〜訪日インフラに求められる多言語対応とは〜】
- 主催:Wovn Technologies株式会社
- 場所:神田明神ホール 2F(オンラインとのハイブリッド開催)
1. おもてなしを届けるPlan Do Seeのマーケティング
株式会社Plan・Do・Seeは、青山グランドホテルや京都丸福樓、伊豆おちあいろう、麻布台Balcony by 6thなど複数のホテルやレストラン事業を展開する企業です。
“I am One of the Customers”、お客様を一番知っている現場スタッフが主導するというValueを掲げている同社は、マーケティングから体験設計にこだわり高い評価を得ています。
講演では、同社が行っているマーケティングの体験設計を「店舗主導」と「マーケティング本部主導」の2つの点から紹介されました。
1. 店舗主体のマーケティング
- WEBサイト:必要な情報が全てまとまっている、知りたい情報がすぐに見つかる、予約や問い合わせまでの導線を最短に、SEO対策を丁寧に行う、WOVN.ioで英語化対応
- 国内外OTA:スペックが一目で分かる、過ごし方を想像できる写真、説明は丁寧に
- Google My Business:常に最新の情報にアップデート、口コミには積極的に返信する
- instagram:最新情報をいち早く届ける、写真と動画で世界観を創る、フォロワーと直接コミュニケーションを取る
2. マーケティング室主体のマーケティング
- RED(2024年より運用開始):口コミには積極的に返信する
- インフルエンサー施策(2022年後半から注力):来ていただきたい国のインフルエンサー、客層から支持されている方を選ぶ
また、同社は採用や商品開発、料理メニューやサービス開発についても店舗を主体とした現場主義で事業を行っており、インバウンド外国人からの高い評価を得ています。
インバウンド外国人に認知されるところから、実際の現場での体験まで一貫した設計を行っていることが同社の事業成長のポイントと言えます。
2. 訪日×デジタルマーケティング – いま起きていること、これから起きること
次に、観光産業ニュース「トラベルボイス(株)」の鶴本代表による講演の内容をご紹介します。
デジタルマーケティングは訪日インバウンド市場においてもますます重要性を増しています。特に注目すべきは、ユーザー生成コンテンツ(UGC)と生成AIの活用です。
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UGC: 訪日客がSNSに投稿した写真や動画は、他の旅行者の意思決定に大きな影響を与えます。魅力的な観光スポットや体験を共有することで、インバウンド需要の拡大に貢献できます。
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生成AI: 観光事業計画の作成、効率化、利益貢献など、様々な分野で活用が期待されています。生成AIを活用することで、新たな顧客体験を提供することも可能になるでしょう。
受入の現場で重要になる体験設計として、カードタッチ決済の導入や口コミを書いてもらうための各種施策が述べられました。
3. 移動・決済データから紐解く訪日の実態 – 旅行中の行動を捉えたマーケティングとは
三井住友カードとナビタイムジャパンによるデータ分析では、訪日客の行動パターンや消費動向が明らかになっています。
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VISAタッチ決済の普及: 世界中で利用できるVISAタッチ決済は、インバウンド決済においても急速に普及しています。
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カード決済データ分析: 決済データから、訪日客の国籍、決済金額、滞在時間、購買履歴などが分かります。これらデータを分析することで、顧客のニーズをより深く理解し、マーケティング戦略に役立てることができます。
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地域別の消費動向: 中国への依存度が高いエリア、伸び率の高いエリアなどを分析することで、新たな観光資源の発掘やマーケティング戦略の立案に役立てられます。
これらのデータ分析を通して、訪日客の行動パターンを理解することで、より効果的なサービス提供やマーケティング活動が可能になります。
まとめ
訪日インバウンド市場の成功には、顧客体験向上とデータ分析に基づいた戦略が不可欠です。Plan Do Seeのように顧客視点に基づいたマーケティング戦略を展開し、デジタルマーケティングやデータ分析を活用することで、訪日客の満足度を高め、インバウンド市場を活性化させることが期待されます。
本セミナーを主催したWovn Technologies株式会社は、WEBサイトやアプリの多言語化ソリューションを展開しています。認知・検討・現地体験のすべての入口になるWEBサイトやアプリにおいて、自国の自然な言語で表示がされることはまさに体験設計確立の基本と言えます。ご興味のある方は、Wovn Technologies株式会社にお問い合わせください。
Wovn Technologies株式会社公式:https://mx.wovn.io/
また、当サイト「訪日インバウンドナビ」では多言語化や事業企画、プロモーションに活用できる補助金補助金の申請支援を行っております。補助金の申請に少しでもご関心をお持ちの方は以下リンク先からお気軽にお問い合わせください。
今後も、訪日インバウンドの最新動向に注目し、変化を恐れずに新たな取り組みを進めていきましょう。
コロナ禍が明け、訪日インバウンド市場が急速に回復しています。2023年度の訪日客数はコロナ前の2019年とほぼ同等となり、消費額は過去最高を記録。政府も2030年までに訪日者6,000万人・観光消費額15兆円という目標を掲げ、インバウンド観[…]